2002年度 大阪府公立高校入試問題
( 国 語 )解答
書式の関係で横書きになっています。
※ ( )内の点数を使えば合計80点となります。
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次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

 舗装道路が、風景を大きく変えている。私が子どもの頃(ころ)と、大さく変わったのは、道路にぬかるみがなくなったことである。どんな道路もぴかぴかで、泥など見たくもないという執念を感じさせるほどだ。
 いたるところにあったぬかるみが、今では懐(なつ)かしくすらある。路面は空を映した。晴天がつづげばいて土埃(つちぼこり)が立つ。雨が降れば水溜(みずた)まりがでさた。道路は子どもの遊び場でもあったから、大隈によって遊び方は変わった。どこからてつやって飛んできたのか、中山貞中小り水溜まりの水面をアメンボが気持ちよさそうに点り、水中にはゲンゴロウが一生懸命泳いでいたりしたものだ。そんな水と接するのも楽しかった。
 冬は水溜まりが凍った。白い薄氷を踵(かかと)で踏んで、割っていくのも、登校途中の楽しみだった。靴底でスケートの真似事(まねごと)もできた。どうしても割れない氷を、意地になって石で割ったこともあった。コンクリートのように固まっていた@氷も、昼頃にになると、さすがに堪(こら)え性もなくなって溶けてくる。
 道路の柔らかい土には霜柱もできた。獣の歯のように盛り上がった霜柱は、透明ない美しさをたたえていた。これを踏み潰(つぶ)すとザクッと悲鳴のような音がして、ズック靴がもぐった。大きな霜柱は食べられた。ゆびさきで摘(つ)まんで口にほうり込むなり霜柱は溶け、少し甘いような土のかおりを残した。
 A路面は季節の移り変わりの鏡でもあった。たいていの家では、練炭を使っていたから、大量にでる灰を、水溜まりになる路面の窪地(くぼち)に捨てた。そうするといつの間にか水溜まりはでさなくなる。B一挙両得であった。
 春になれば氷もゆるみ、ぬかるみができる。泥はやっかいな存在ではあるが、春を告げる喜びのしるしでもあったのだ。春泥(しゅんでい)と文字に書くと、なまめかしいような気分が伝わってくる。春はやはりなまめかしいものなのだ。
 春の泥には足を取られる。よほど注意深く歩かねば、靴や下駄(げた)やぞうりはおろか、着ているものまで汚してしまう。だからこそ、人々は情感を持って春の泥と接していたのだ。
 ぬかるんだ道を向こうから人がやってくる。普段ならどうということもなく行き交える道ではあるが、ぬかるみのために一人しか通れない。ずいぶん先からやってくる人に道をゆずろうと心の中で決め、ぬかるみの手前で立ち止まっていたら、先方も立ち止去っていた。どうぞどうぞとゆずりあい、結局はゆずられてしまう。
 道は一歩一歩あるくものである。心をこらして泥を踏みしめていけば、路傍の花や虫の小さな世界も見える。向こうからくる人と道をゆずりゆずられ、思わぬ椅懸を共有することにもなる。泥さえもが、人々の心を映していた。
 大丈夫だと思ってはいっていくと、ぬかるみは思いがけず深い。足を取られ、進退がきわまってしまう。そんな時にかぎって、知った人が向こうからやってくる。そうこうしているうちに、先方もC自分と同じような状態になっている。
 そんな時でも人を無視するわけにはいかない。仕方ないから遠会釈(とおえしゃく)をする。お互いの置かれた立場はわかりきっているので、そこに淡い共感が生まれる。
(立松和平『象に乗って』による)
(注) 練炭 木炭や石炭の粉をねり樹めてつくった燃料。
遠会釈 遠くから軽くおじぎをすること。

本文中の次の漢字の読み方を書きなさい。
執念  いて  
比喩表現は、そのたとえ方によっていろいろな種類に分類される。@氷も、昼頃になると、さすがに堪え性もなくなって溶けてくるとあるが、この部分に見られる比喩表現とたとえ方が同じである比喩表現を含んでいるものが次のア〜エには一つある。その記号を書きなさい。
窓を開けると、そよ風のささやさが聞こえた。
車窓から見ると、田園は縁のじゅうたんだった。
公風に行くと、ちょうちょうがひらひらと飛んでいた。
丘をこえると、絵のような美しい風景が広がっていた。
A路面は季節の移り変わりの鏡でもあったとあるが、この表現において「も」が用いられているのは、本文中のどの一文を受けているからか。その一文を抜き出しなさい。
一挙両得と同じ意味で用いられることばを次から一つ選び、記号を書きなさい。
ア 一刀両断   イ 一人二役
ウ 一石二鳥   エ 一日千秋
自分と同じような状態とあるが、これはどのような状態をさしているか。書きなさい。
筆者は、春のぬかるんだ道で人と人とが行き交うとさ、互いに相手に対してどのような心情が生じたと述べているか。説明しなさい。
しゅうねん 2点
(1点)
かわ(いて) 2点
(1点)
するど(い) 2点
(1点)
4点
(4点)
路面は空を映した。 4点
(4点)
4点
(3点)
(例) ぬかるみに足を取られて進退がきわまっている状態。 5点
(4点)
(例) 相手に道をゆずろうとする思いやりの気持ちや共にぬかるみに悩まされている者どうしが持つ淡い共感という心情。 7点
(6点)
/30点
(24点)
類似問題
類似問題(漢字)
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